今日は、消化のまさに中心とも言っていいであろう”胃酸”の話です。
大事な大事な話ですので、みなさんしっかり読んでください。

 

 

胃酸とは!?

胃の内壁には多くの分泌腺があり、食物の分解を助けるために1日約1.5~2.5ℓもの胃液を分泌します。胃液は、無色透明で99%は水分です。残りの1% の主な成分は、塩酸、ペプシノーゲン(ペプシンに変わる)、粘液の3つです。胃酸とはこの塩酸を指し、胃内での殺菌・消毒や、消化酵素の活性化などに活躍 しています。
また粘液は山芋などの野菜に含まれているネバネバ成分と同様のムチンで、この粘液が胃の粘膜を保護してくれています。

胃酸の分泌は「アセチルコリン」「ガストリン」「ヒスタミン」の3つの物質によってコントロールされています。アセチルコリンは神経伝達物質で、見たりかいだりすることで胃酸の分泌を促します。ガストリンは胃壁の細胞を刺激して、胃酸を分泌させ、またヒスタミンを分泌させます。ヒスタミンもまた、胃壁の細胞 を刺激して、胃酸を分泌させます。

たんぱく質の分解には、「ペプシン」という酵素が働きます。ペプシノーゲンが胃の中で変化したものですが、胃酸のpHが5以上ではペプシンに変化しません。このため、たんぱく質の分解に支障をきたすこともあります。

さて、胃酸の酸である「塩酸」。この「塩酸」はpH1.0~2.5とかなり強い酸性で皮膚をただれさせるほどの力があります。
この強烈な酸性の液が、消化に重要な役割を果たしているのです。

胃に関連しているすべての問題は、ほとんどと言って良いほど「塩酸」に関連しています。
胃酸は消化過程に不可欠なものです。胃酸の消化過程がなければ、栄養素の吸収はおおいに減少し、消化不良と吸収障害を起こしてしまう上、病気の危険性が高まるとも言えます。

 

 

栄養素がしっかり吸収できない!?

さてこの胃酸が減ってしまうことで、身体にどのような弊害が起こるのでしょう。

胃酸の消化の活動時、理想のpHは0.8~1.2と言われ ますが、胃酸の分泌が低下していたり、pHがアルカリ性に傾くと、まず消化過程に障害が起き、栄養吸収不良が起こるということが大きなことでしょう。現代 人の3割前後が胃酸のpHが3.2くらいになっていると言われるのでかなり多くの人が関わっているとも言えます。

胃酸が低下すると胃酸に刺激されて出る消化酵素も減ってしまうとともに、胃酸低下もしくはpHがアルカリ性に傾くだけで、栄養素の吸収率が格段に減ってしまうのです。

 

胃酸の低下によって吸収率が落ちる栄養素としては・・・

 

<ミネラル>
鉄・カルシウム・マグネシウム・亜鉛・銅

<ビタミン>
葉酸、B12、B6、A、E、B1、B2、B3など

またその他アミノ酸や脂質の吸収も低下します。
これだけの栄養素の吸収が落ちてしまうと(吸収不良症候群)、身体に問題が起きるのは容易に想像できるのではないでしょうか?どんなによい食事をしても、ビタミン類のサプリメントをとっても、思うように健康の回復しない人は、実は胃酸の不足が原因になっていることも少なくないのです。

そして、これが慢性的になってくると「慢性栄養吸収障害」になり、食べても食べてもやせてしまう人、また水を飲んだだけでも、太ってしまう人が出てきます。人間の身体をつくる60兆個の細胞にしっかり栄養が行き届かないわけですから、大問題です。

 

胃酸には、消化を助ける以外にも重要な働きがあります。
ある論文で、ラルフ・ジャネーラ博士らは、次のように話しています。
「これまでに蓄積されているデータからみても、低酸症や無酸症がバクテリアや寄生虫による腸内感染のリスクを高める可能性は極めて高いと思われる」
要するに、胃酸の分泌が十分であれば、細菌を殺すこともできるし、消化器系の感染を最小限に抑えられるということです。

また別の論文で、W・S・J・ラデール博士らは、「胃酸の分泌が少ない場合、胃液内の亜硝酸塩の濃度が著しく高まる」と指摘しています。胃内の環境がアルカリ寄りになるほど、亜硝酸塩はニトロソアミン(発がん物質として知られている)に転換されやすくなります。
胃酸の分泌が不足している人は胃がんのリスクが高まることは、知られていますが、ラデール博士らは、胃内の亜硝酸塩濃度が高く維持されることがその一因なのではないかと推測しているそうです。
胃の中が、適切な酸性に保たれていれば、亜硝酸塩は不安定になり、たいていはトラブルを起こす前に分解されてしまいます。

またDr Wrightは、胃の中が十分に酸性になっていない人は、イースト感染にかかったり、尿中にインジカンが排泄される確率が著しく高まるとしています。尿中のインジカン濃度が高まるのは、腸内細菌の異常発生やさまざまな吸収不良性の疾患のサインになります。

このようにみていくと、
胃酸の低下、怖いですよね。
私の臨床でも、消化系の問題をもっている人に頻繁にみられるのは「胃液の不足」です。
実は、深刻な問題なんですよ。
胃酸分泌不足・・・もしかしたらあなた自身の胃でも起こってるかもしれません。

 

 

K.K.

 

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カイロプラクティックは、薬は使わず手だけで身体の治療をするアメリカ生まれのヘル
スケアです。
みなさんに知られているような筋肉骨格系の治療はもちろん、カイロの中の一つの学問
アプライドキネシオロジーでは、自律神経や内臓、ホルモン、神経、栄養のアンバラン
スをチェックし、それに対する治療を行うことができます。
アメリカではまさしくプライマリーケアとして認められ、準医師として統合医療の一翼
を担っています。

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麻布十番のカイロプラクティック治療院 CHIROPRATICA

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参考:

胃酸分泌低下で起こる症状

糖尿病
甲状腺機能異常
小児喘息
慢性の発疹
湿疹
胆のう炎
骨粗鬆症
リウマチ性関節炎
副腎皮質の虚弱化
慢性肝炎
白斑
大半の腸の問題
など・・・