さて、今日はあまり聞き慣れないと思いますが、回盲弁症候群のお話です。

 

 

回盲弁症候群とは?

小腸から大腸に移行する部分を「回盲弁」といいます。
回盲弁は、回腸の終わり(盲腸直前)に括約筋のような肥厚部があり、それと開口部にあるバルブのような上下の小唇で構成されていますが、その機能の低下で起こる「回盲弁症候群」。

 

回盲弁・・・
はじめて聞く方も多いのではないでしょうか?

 

この回盲弁は、主に小腸と大腸の間における内容物流入のコントロールをしている弁として機能しています。
具体的には、消化過程終了まで回腸から盲腸への内容物流入を防止したり、細菌を含んだ大腸内容物が逆流することによる小腸汚染の防止に役立っていると言われています。

 

回盲弁の重要性を研究した動物実験をいくつか紹介しましょう。

GazetとKoppが行った動物を使った実験では、犬を使って、結腸半側切除術を行い、回盲弁の重要性を追求しています。その結果、回盲弁の括約筋を残すことは、括約筋に隣接する回腸のバクテリア汚染の増加を防止することになると述べています。
また猫と猿では、結腸半側切除術により病的な下痢などの状態を引き起こし、顕著な体重の減少が観察されますが、それを起こさないためにも回盲弁が重要であると言っています。

Glassmanは、犬の回盲部切除術中に腸壁の筋組織を弁状に隆起させる方法で、人工的な回盲弁を造りました。
回盲部切除術が行われた犬には、正常な犬の腸管内のバクテリア数よりも多くのバクテリアが検出されましたが、人工的な回盲弁を作った犬でのバクテリア数は、正常な犬のものと変わらなかったといいます。

また結腸半側切除術を受けた14匹の犬のほぼ全てに、排便回数の増加、液状の便、脱水症状の出現が見られましたが、人工的な弁を持つ犬は、排便やその他の症状などにおいて正常な犬との相違はわずかであったというのです。

 

みなさんにあまり知られていない「回盲弁」は実は重要な役割をしているわけです。

人間では、回盲弁は吸収不良や下痢を防止する役割の一端を担っています。
Kalserらは、「回腸の盲腸移行部と回盲弁が損なわれていなければ、栄養素の欠乏は最小に留まる」と述べています。
回盲弁が内容物を保持することで、回腸での水分吸収が可能になります。また正常な回盲弁と回腸粘膜の機能は、脂質吸収においても重要であると言われているのですね。脂質というとみなさん敬遠してしまいますが、重要な栄養素なのですよ〜。

さてこの弁。なぜここでお話することにしたかというと、この機能が低下することによって身体に様々な問題を作り出すことが言われているからなのです。

カイロプラクティックのアプライド・キネシオロジーでは、回盲弁症候群の多くの症状は、盲腸・大腸内容物の回腸への逆流により毒素を身体が吸収してしまうことによるものとされています。
私の臨床でもよくみられる回盲弁が開きっぱなしの状態にある「回盲弁開口症候群」では、大腸からの逆流が起こり、毒素が身体に充満していきます。
この回盲弁の機能低下によって起こる症状は多岐にわたります。

 

動悸
心臓の粗動
活動時の胸部痛
偽性メニエール症候群
片頭痛
就下性浮腫
右肩の痛み(滑液包炎に類似する)
首のこり
めまい(午後に起こりやすい)
耳鳴り
吐き気
失神
偽性副鼻腔感染症
急激な口の渇き
目の下のくま
全身の痛み

などなど。

 

非常に症状が多くてびっくりした方も多いのではないでしょうか?
こんな症状に、腸の弁の働きが落ちることが関わっているとは信じられないかもしれないですが、回盲弁の機能低下で、身体に毒素が充満すると、本当に様々な症状を起こすことになります。
皮膚と肺が解毒作用を行うようになると、身体や息は悪臭を伴うこともあります。
また身体に侵入した毒素を希釈して、その影響を最小限留める身体の防御反応が働きだすと、身体は水分を余計に使うことになったり、体液を排出する作用が落ちるので、脱水症状や体液の停溜が起こる場合もあります。

回盲弁症候群の90%以上の人が、先ほど言った回盲弁が開きっぱなしの状態「オープン回盲弁」ですが、まれに「クローズ回盲弁」の方も見られます。
症状はほとんど似ているのですが、オープン回盲弁は朝、クローズ回盲弁は夜に調子が悪くなる傾向にあります。

また腸の中の状態が悪化するというと、通常、消化器系の問題が起こりそうな気がしますが、患者さんの排便習慣や他の消化器系の症状に大きな変化が出ることはあまりありません。
また慢性的な便秘や下痢にも大きな変化が起きることはないとされています。
しかし、オープン回盲弁では、「兎糞状の便」や通常の便よりも「細い便」に変化することは多々あります。
中には「便秘と下痢を繰り返す」といった症状がみられることもあったりするので、思い当たる人もいるのでは?

また、回盲弁症候群の人には、手根管症候群(手のシビレを伴う)や椎間板症候群などの末梢神経圧迫症状が見られることもあります。これらの障害は毒素を希釈するために起こる体液の停溜により起こると言われており、手根管症候群で原因となる正中神経は浮腫により影響を受け、体液停溜による椎間板の浮腫も、坐骨神経痛を伴う腰痛の原因となるのです。

これらの症状に対しては、カイロプラクティックによる回盲弁に対するアプローチで劇的な改善がみられることがあります。

 

 

K.K.

 

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カイロプラクティックは、薬は使わず手だけで身体の治療をするアメリカ生まれのヘル
スケアです。
みなさんに知られているような筋肉骨格系の治療はもちろん、カイロの中の一つの学問
アプライドキネシオロジーでは、自律神経や内臓、ホルモン、神経、栄養のアンバラン
スをチェックし、それに対する治療を行うことができます。
アメリカではまさしくプライマリーケアとして認められ、準医師として統合医療の一翼
を担っています。

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