Spine

カイロプラクティックで一番重要と考えられているカラダの部分、それが「背骨」です。

カイロプラクティックの先生は言わば、「背骨のお医者さん」とも言えるのです。
ではなぜそんなに背骨が大事なのでしょう?

背骨はみなさんがご存知のようにカラダの中心にある骨。しかし実は「背骨」は一本の骨ではなく椎骨(ついこつ)という小さい骨の集合体で、この椎骨が縦に24コと仙骨・尾骨がつながったモノなのです。この鎖のような構造が他の骨にはない背骨の大きな特徴と言ってもいいでしょう。

そして、この椎骨一つ一つの動きが連動することで、いろいろなカラダの動きを可能にしています。また背骨の中はちょうどトンネルのような構造になっていて、このトンネルの中を通っているのが脊髄(せきずい)と呼ばれる大切な神経です。脊髄は脳から出てくる神経の束で、神経は脳からはじまり、背骨の中を通って身体の隅々まで支配しています。

カラダの中心を貫いている背骨。実は、このようにカラダの自由な動きを可能にする働きと、私たちの身体をコントロールしている神経を守る大切な役割を持った素晴らしい構造をしているのです。

 

 

History

今から3億5000年前、生物がこの地球上に誕生しました。それ以来、生物は地球の重力に、ある意味では守られ、またある意味ではそれと闘ってきたのです。この重力が背骨にとっても非常に重要な意味を持ちます.

生物は海から、陸に上がった時、四足歩行でした。その後、長い年月がたち、二本足で活動するようなった人間は、多くの特権を獲得しました。視野が広がり、自由になった前足(手)は、物を捕まえたり、つくったりすることで脳を発達させ、文明を築いてきたのです。

しかしこの反面、”身体を支える”という点では、他の四本足の動物より、人間の方が不利になってしまいました。たとえば馬と人を比べてみると、人の足下の面積は、馬よりも相対的に狭く、重心の位置は相対的に高くなるので、不安定になります。こうした中で、筋肉骨格系への荷重が増加し、二本足だけで身体を支える為には、身体に強い支柱が必要となったのです。

その支柱がまさに「背骨」。身体を支える役割を担うことになった背骨は、重力に逆らい立位となったため、S字のカーブを描くことになりました。このカーブによって「背骨」は、重力に対してうまく力を分散させています。しかし、不安定な直立姿勢の中では、すぐにバランスを崩しやすいという欠点を抱えることになってしまうのです。

 

 

Sublaxation

背骨におけるバランスの崩れを”背骨のゆがみ”と言いましょう。背骨にゆがみができると全身にいろいろな障害が起こることになります。

自在に動くようにできている背骨のどこかに負担がかかると、1つ1つの骨の関節は固定されたように動かなくなり、運動機能が低下します。それが自律神経にも悪影響を及ぼしたり、神経を圧迫する原因を作ったりもします。

また骨のひとつが動かなくなると、その上下の骨も動きが悪くなり悪循環が起こります。さらにそれを補おうと、離れた場所にある骨や筋肉までが無理な姿勢をとる、というようなことが起こるのです。

肩こり、腰が痛い、背中の張り、目が疲れる、頭が痛い、ひざが痛いなど様々な症状が、この背骨の機能障害によって引き起こされます。また背骨の機能障害によって、自律神経の働きも低下するので「食欲がない、風邪を引きやすい、眠りが浅い、疲れやすい」といった症状も抱えやすくなり、さらには免疫機能が低下し、病気になりやすい状態にも陥ってしまいます。

このような背骨の歪みをカイロプラクティックでは「サブラクセーション」と呼んでいますが、サブラクセーションを放置しておくということは、まさに病気の温床を持っているということにもなるのです。

 

この「サブラクセーション」が例えば腰椎(腰部の背骨)で起こった場合の腰痛にどんなものがあるかあげておきましょう。
股関節とお尻の痛み、足の痺れや痛み、朝や活動が少ない日などに特に感じられる腰部のこわばり、局所的な背骨(腰部)の痛み、腰を反らせたときの痛み、足をあげたときの股関節、お尻、腰の痛み
などなど・・・

 

 

Posture

脳は姿勢維持に重要な役割を果たしています。どのような時も、目からの視覚情報や、耳からの聴覚情報、平衡感覚の情報や自分の関節の位置感覚・固有 感覚、どれくらい曲がっているか、どのくらいの圧力が関節に加えられているかという情報、皮膚の伸張度合い等、様々な情報が脳に伝えられています。脳はこ のような情報を常に読み取り、予測不可能な事態に対しても適切なタイミングで動きの量をコントロールしてカラダの筋肉の調節しているのです。

脳は通常の働きには数十%しか使われていないと言われますが、残りの機能は全て「姿勢の維持に必要な情報の処理」に使われているとも言われています。これだけ姿勢を維持することは大事なことなのです。

バランスのよい重心線は、頭の中心、肩、腰椎の中心 股関節、ひざ 足のくるぶしを通り、一直線に並びます。

重心がそろっていると、まっすぐに立ちあがった時、楽に立っていられます。筋肉をあまり使わずに骨格によってバランスを取ることができるのです。姿 勢が悪いと、背骨が曲がり、いろいろな弊害が出てきます。前述したように背骨はS字にカーブしているのですが、これは重たい頭を支えるときに、重力を分散 する働きがあるためです。猫背になると、自然に頭が前に倒れます。その状態だと、背骨で重たい頭をぶら下げるような形になり、それに伴い肩や背中の筋肉に 付加がかかり、肩こり、背部痛、腰痛の原因になるのです。また脳もその状態が正常なのだと勘違いしてしまい、脳の姿勢維持機能で、慢性的に姿勢が悪い状態 に陥ってしまうとも言えます。

私が臨床で、姿勢検査をすると「正しい姿勢」の人は、ごく僅かなのが実態です。

「背骨」は、立位という不安定な状態の中、悪い姿勢をとることによって負担を受けてしまいます。それに加えて現代人は、パソコンをよく使い、同じ姿 勢を酷使することが多かったり、昔に比べ歩くことが少なくなったことで、背骨を支える起立筋が弱化しているなど、様々なストレスにさらされています。この 状態をほおっておくと、様々な症状を抱えることに加え、「背骨」の老化も進みやすくなります。

 

カイロプラクティックは、こうした諸々の悪因子と闘いながら、人間が立位になることによって生じたマイナス面を補い、助ける科学的な医療なのです。 カイロプラクターは、負担を受け、動きが悪くなった背骨の部分をいち早く見つけ、正しい方向に動きをつけることができます。こうすることで、背骨の正常な 機能が回復し、自律神経のバランスも整ってきます。一度背骨のゆがみが出来てしまうとなかなか自分では治せません。筋肉をほぐしてあげても一時的にしか良 くならないことがほとんどです。

みなさんもカラダの重要な部分である背骨をカイロプラクティックで予防することで、老化を防ぎ、病気になりにくいカラダ作りをすることができます。

 

 

Finaly

私たちカイロプラクターは、いままで話してきた「背骨」の関節を動かす治療を行うのですが、この効果にはびっくりするものがあります。もちろん適応しない症状もありますが、筋肉骨格系の問題には強く、私自身も奇跡と思えるほどの治療効果を実感したこともあります。

カイロプラクティックが治療をする「サブラクセーション(背骨の歪み)」はX線の所見が出るものとは限りません。「サブラクセーション」とはX線で確認可能な医学の脱臼などに比べると非常に微妙な病変なのです。カイロプラクターはX線が出現するよりもはるかに昔から、脱臼や不全脱臼より程度の軽い関節病変の痛みや機能低下を緩和し、この100年間、多くの人々の苦痛を取り去ってきました。

お医者さんがX線やMRIを撮って、「骨には問題はない」、もしくは「関節の間が狭くなっているから椎間板に異常があるかもしれない(ヘルニアなど)」、「神経が出ている穴(椎間孔)が狭くなっている」などと言うかもしれません。
ですが、それだけで首の痛みや腰痛が出ているとは限らないのです。
実は、X線には写らない微妙なズレ、X線では確認できない運動の異常、機能異常によって問題が起きていることが非常に多く、お医者さんで椎間板ヘルニアと診断されてくる腰痛患者さんの中で、カイロプラクティックが言う「サブラクセーション」の問題である人がどれほど多いことでしょう。

 

背骨の形状を見ていくと一つ一つの椎骨に中央と横に伸びる突起があります。もちろんこれは筋肉や靭帯が付着するための突起なのですが、これらの突起を使って関節を動かしていくカイロプラクターとしては、神様がカラダの不調を治すすべとして、最初から背骨にこういう突起をつけたのではないかとさえ思ってしまいます。

「背骨」とは、それくらい私たちにとって人間のカラダのすごさを感じさせてくれる部分でもあり、大事な骨なのです。