Mineral ミネラル

地球上には118種類の元素がありますが、人間の体の96%は酸素、炭素、水素、窒素の4元素で構成されています。栄養学では残り4%にあたる、それ以外の元素(114種類)をまとめて「ミネラル(無機質)」と呼びます。この4%の微量元素が、体の機能の維持や調節をしてくれています。

 

人間の体の中でミネラルは約8割が骨に、1割が筋肉に存在します。ビタミンと同じく、ミネラルは人間の体内では合成できないため、食事から摂る必要があります。中でも、体の中で絶対欠かせない働きをもっているものを「必須ミネラル」と呼んでいます。またその中でも一日に100mg以上の摂取が必要な、カルシウム、リン、カリウム、硫黄、塩素、ナトリウム、マグネシウムの7種を「主要ミネラル」といいます。

ミネラル自体はエネルギー源とはなりませんが、大きく分けて4つの働きを持ちます。①骨や歯などの構成成分となる。②筋肉、皮膚、臓器の構成成分となる。③体内で浸透圧やpHを調節する。④体内で起こる化学反応に関わる酵素の働きを助ける。ミネラルは人間が生きていくために必要な機能には欠かせない物質で、たとえば酵素はミネラルがないと働けません。
マグネシウムなどは約300種類もの酵素反応を活性化していると言われます。またミネラルの特徴としては、たとえばカリウムとナトリウム、カルシウムとマグネシウムなど、ミネラル同士が一定のバランスを保ちながら、相乗的に働いています。健康の維持にはこのバランスを崩さないことが大事なのです。

 

ミネラルを多く含む食材としては、牛乳、小魚、穀類、豆類、レバー、貝類、野菜類などがあります。どれも、もともと植物や動物が体内に持っていたものではなく、植物が土から吸い上げたり、家畜がその土から生えてくる牧草を食べたり、海中生物が海水から吸収したものです。そのため肥沃な土地で育った農作物や果物、森林から流れ出る真水と海水が出会う豊かな海域で育った海産物などはミネラルを豊富に含むと考えられています。

 

近年、植物中のこれらのミネラルの含有率が減少しています。化学肥料が土壌中の微生物を抹殺し、ミネラルの構成比を激変させてしまいました。土中ミネラルの欠乏は植物の成長を阻害し、ビタミンを含めた微量栄養素の減少が人の健康にも深刻な影響を与えています。

また現代人の食生活にも問題はあります。加工食品を摂りすぎるとリンが多くなり、カルシウムと鉄などの吸収率が落ちます。また野菜を摂らずに味付けの濃いものばかりを食べていると、ナトリウムが過剰になってしまうことがあります。