Fat 脂質

タンパク質や糖質と並び、生命の維持に欠かせない栄養素の一つである脂質は、体脂肪として体温を保つのを助けたり、筋肉や臓器を衝撃から守るクッションの役割を果たすほか、細胞膜、血液などの構成要素にもなります。また糖質に比べて4倍くらいのエネルギー量を持ち、効率の良いエネルギー源でもあります。

 

コレステロールもこの脂質の一種というとみなさんは敬遠しがちだと思いますが、コレステロールは身体で必要なホルモンの材料になったり、脳の構成物質としても非常に重要なものです。
問題になるのは、その脂質の摂り方にあるのです。脂質が体の中に入ると「脂肪酸」になりますが、「脂肪酸」には3つの種類があって、液体状の①一価不飽和脂肪酸、②多価不飽和脂肪酸、固形状の③飽和脂肪酸があります。パーム油やヤシ油、バター、ラード(豚脂)、ヘット(牛脂)は飽和脂肪酸を多く含み、オリーブ油は「一価不飽和脂肪酸」、サフラワー油、魚の油は「多価不飽和脂肪酸」の割合が高いといえます。飽和脂肪酸はあまり評判がよくありませんが、これは動物の脂肪に多く、摂りすぎるとコレステロールや中性脂肪を増やしてしまいます。

 

また多価不飽和脂肪酸は「α‐リノレン酸(n-3系)」と「リノール酸(n-6系)」の2つに分かれ、どちらも体内で合成されないため食事から摂る必要がある「必須脂肪酸」と言われていますが、最近では、この必須脂肪酸の摂取比率が崩れるとアレルギーや炎症疾患のリスクが高まることが分かっています。
n-3系:n-6系の摂取比率は1:4がベストだと言われていますが、食生活の欧米化やファーストフードの台頭で現状は1:14と大きく崩れています。健康のためには、n-6系の調理油を控え、魚の油、亜麻仁油などでn-3系の摂取量を増やすことが重要です。