今日は、2009年(10月)のJournal of Strength & Conditioning Researchから高齢の女性向けに行なったストレッチの筋力運動への効果についてお話したいと思います。
みなさんは、運動前のストレッチはとても良いものであるという認識があると思います。また日本でも世界的にも、怪我の予防のために運動前にストレッチが推奨されています。
しかし、この研究では実は運動前のストレッチが逆に筋肉の機能を低下させ、怪我のリスクを高めるとしていますね。
興味深いですよね。
この研究では、23人の女性(57歳〜71歳)を対象に、筋肉の随意最大収縮と収縮開始時から段階的に収縮力を計っています。
まず、通常では最初の0.2秒までに最も収縮率が上がっていくことがわかりました。その次に2つのグループ(ストレッチをしたグループと何もしなかったグループ)に分けてランダムに計測したのです。
筋肉については太腿の筋肉(内側広筋と外側広筋)とモモ裏の筋肉(大腿二頭筋)を使いました。
そうしたところ、ストレッチをしなかったグループに比べてストレッチをしたグループの方が、最大収縮力が弱いことがわかりました。
Data:
① ストレッチをしていないグループ
925±50.9N
② ストレッチをしたグループ
1回目 854.3±55.3N
2回目 863.1±52.2N
3回目 877.5±49.9N
また最初の2つのトライアルで、ストレッチをしていないグループに比べてストレッチをしているグループの方が、収縮率が上がっていく度合いが弱いことがわかったのです。
Data:
① ストレッチをしていないグループ
2672.3±259.1N/second
② ストレッチをしたグループ
1回目 2296.6±300.7N/second
2回目 2197.9±246.3N/second
この研究の結論としては、運動前にストレッチを行なった女性達は、筋肉の能力が低下してしまったとしています。筋肉の作動自体には影響はなかったのですが、この研究を見ると、高いレベルでの筋肉収縮が要求される運動などの前には、ストレッチをやらない方が良いかもしれません。またストレッチを行なった後、すぐには急な運動はしない方が良いでしょう。
この結果は、高齢者の瞬時の転倒防止などにも役立つものではないかと研究では締めくくっていますが、いかがでしょう?
実は、1970年代半ば〜1980年代初めにかけて、運動前のストレッチは怪我を予防する効果がないことが数多くの研究で報告されています。ストレッチをしても特に硬い筋肉は柔らかくなることはなく、逆に筋肉をストレッチすることで、筋の収縮力や持久力などが低下することがわかっているのです。
アスリートの方でも、運動前のストレッチはやっている方が多いですが、筋肉をストレッチすることで、筋肉の張力自体が弱くなってしまい、適切な収縮が出来なくなること、また関節を保持する力が弱くなることで、関節、靭帯、筋肉にかかる負担が増えて怪我が増えるとされているので、運動前のストレッチは控え目に行なう方が良いでしょう。
運動前にはストレッチではなく、十分なウォーミングアップが最適です。
最低15分間ぐらいの緩やかな有酸素運動が一番良いですね^^。
K.K.
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カイロプラクティックは、薬は使わず手だけで身体の治療をするアメリカ生まれのヘル
スケアです。
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アプライドキネシオロジーでは、自律神経や内臓、ホルモン、神経、栄養のアンバラン
スをチェックし、それに対する治療を行うことができます。
アメリカではまさしくプライマリーケアとして認められ、準医師として統合医療の一翼
を担っています。
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参考文献:
Acute Effect of Static Stretching on Rate of Force Development and Maximal Voluntary Contraction in Older Women.
Original Research
Journal of Strength & Conditioning Research. 23(7):2149-2154, October 2009.
Gurjao, Andre L D; GonCalves, Raquel; de Moura, Rodrigo F; Gobbi, Sebastiao